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自前主義が正しい時代は終わった

honda.hatenadiary.jp

上記ブログがネットを騒がしている。
要約すると、車を作りたくてホンダに入社したが技術開発はサプライヤー任せで、自分たちは買うだけだという嘆きだ。私の感想としては、この人はホンダの方針と合わなかったんだなで終わる話なのだが、気になるのはブログ記事への反応だ。はてなブックマークは比較的冷静なのだがツイッターはなかなか過激で、ホンダの方針が間違ってるかのようなコメントが多い。加えて日本凋落の原因はこれだ!みたいなものもある。
 
しかし、私がこの30年さんざん聞かされた日本凋落の原因は自前主義にあるというものだった。なんでも自分たちでやって垂直統合で動いていたため、時代の変化に対応ができなくなってしまうというあれだ。アメリカは80年代に日本企業にモノづくりで劣勢だった反省からモノづくりは中国などに任せて、アメリカは規格やプラットフォームで稼ぐ仕組みになった。90年代後半のwindowsが世界を席巻するときにはそういった分析はあらかた終わって常識になったと思う。だから2018年にもなってこんな自前主義を守れ!みたいな反応を見るとは思わなかった。
そもそもホンダが赤字なら凋落といえるのだが、黒字でホワイト企業(上記ブログ主も労働環境には満足していたようだ)なら問題ないだろう。つまり、適切な分野を見極めて、外部の企業に頼るのは間違ったことではない。自動車はこれからEVが普及してコモディティ化する流れが今以上に加速するとさんざん言われてきた。PCや家電で起こったことが自動車でも起こるわけだ。その傾向は株価にも出ていて、日経によると完成車メーカーよりサプライヤーのほうが調子がいいようだ。PC業界をみれば当然の話だ。DELLやHPよりもインテルNVIDIAのほうが重要なのだ。
これは日産の話だが、電池メーカーを中国ファンドに売却するなどホンダ以外の企業も自前脱却を進めている。
ホンダも、そういったメガサプライヤー時代に合わせた動きをした結果なのだろう。
 
もちろんそんなメガサプライヤーの時代に完成車メーカーに入社した社員がそのことを納得しているのかという話は別にあるし、退社する社員が出てくるのは仕方がないとは思うが、それは時代と個人の折り合いの問題であって、ホンダの問題ではないと思う。