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日本製の消滅を嘆くおじさんが多くて驚く

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前から日本の製造業の不振のニュースがブコメで盛り上がり決まって「日本の製造業はおわりだ。だから日本は終わりだ」と嘆く人が多い。私はそれを見るたびにどうしてはてブはIT系を仕事にしている人が多いのに製造業に未練があるんだろうと思っていた。

しかしここ数年のアメリカのトランプ大統領の言動をみていて、ここにヒントがあると気づいた。説明するまでもないがトランプ大統領はホテル経営者だ。にもかかわらず製造業をアメリカの復活と結びつけて政治を動かしていた。なぜトランプは製造業にこだわったのか。製造業は立派な工場が立ち並び、そこでは男達が大量に労働力として参加するイメージだ。それが非常にマッチョな思想の人に映える国家像に映ったのではないか。これらにマチズモ的要素を重ね、国の発展を可視化させたかったのではないかということだ。

それにくらべてITは椅子に座ってキーボードをカチャカチャする作業風景だ。マッチョな活力は感じられない。そもそものIT産業自体が年配からは虚業といわれ理解されなかったことからもわかるように、はたから見ると仕事の内容が非常にわかりづらくなめられることが多い。「ごめん、ちょろっと修正してよ」なんて気安く修正を依頼されたりもする。電子空間の出来事よりも、肉眼で物体が確認でき、手で触れられる製造業のほうが、感情を動かす映える産業なのだろう。

そういった背景があり、はてブのおじさん達も仕事ではIT系などの仕事をしているが実は精神的にはモノづくりにあこがれる精神モノづくりおじさんが多いのではと思う。本当はものづくりをしたかったとか、不本意ながらIT行くしかなかったとか、そういった不本意ITおじさんの巣窟なのかもしれない。

私は製造業そのものがオワコンだと思っている。一言でオワコンというのもどうかと思うが、多少の例外はあれど終わっている。だから本当の日本の問題は製造業の消滅ではなくて、それに代わるべきだったIT産業を育てようとしなかった事にあると思っている。そっちのほうがよっぽど問題だし嘆くべきだ。日本にMSやgoogleamazonが生まれなかったこと、そしていまだに日本からそれらを生み出そうとする気概がない事を嘆くべきだろう。しかし政治家などが嘆くのはなぜかテレビ製造やスマホで中国や韓国の企業に負けたとか、いわゆるモノづくりでの事ばかりだ。あったものが失われるというのも響くのかもしれない。失われることは馬鹿でもわかるが、最初からなかったものは嘆きようがない。だから考えようともしない。

製造業はオワコンだというと「テスラがすごい盛り上がってるじゃないか!」と言う人がでてくるが、私はテスラの勢いは長く続くとは思わない。今はほかのメーカーがEVに力を入れてなかった隙間を突いたブルーオーシャン期だ。これからEV業界が成熟したらどうしても価格勝負になりコモディティー化する。スマホでいうとHTCみたいなものだ。スマホ初期はまともなアンドロイドスマホがHTCだけだったので勢いがあったが、ほかのメーカーが真剣にスマホ作り始めたら競争力を失った。アップルのようにOSやアプリプラットフォームで囲い込むこともできないので結局中国メーカーに価格競争を仕掛けられ終わると思っている。

だから、これからはやはり情報産業が重要だ。車では自動運転勝負になると思っている。ここで重要なことは所有ではなく利用での自動運転だ。ホンダがレベル3を自慢しているが自動車メーカー主体の自動運転はどうでもいい。なぜなら自動車メーカーの自動運転は車の所有、つまり車を販売する前提だからだ。利用が前提の社会ではやはりgoogleが支配するだろう。アプリで配車サービスを呼び出したら無人カーが来てそれに乗る。そういった情報産業ファースト、サービスファーストな自動運転が今後支配するだろう。車を売るための自動運転ではなく、自動運転サービスを提供するための自動車産業になる。そういうのはサービスファーストな企業でなければ厳しい。本当の日本の問題は、それを提供できる企業がないことだ、情報ファースト企業に切り替えられずに、製造業を捨てなかったことが問題だ。

ちなみにもし日本企業でgoogleに対抗できるならどこだろうと考えると、しいていうならソニーだろう。製造業主体から情報ファースト、サービスファーストになりつつある。まだ見ぬベンチャー企業を別とするならトヨタやホンダではなくソニーが一番近い存在だと思う。ソニーは日本企業には珍しくサービスへの転換に成功した。もちろんハードウェアも作ってるが、おそらくこれからどんどん減らしていくと思うし、デザインやソフトウェアやサービスの提供はソニーが担当するがハードウェアは部品会社に委託するアップルがやってるような業態になるだろう。そのとき、ソニーの車がどこで作られてるかなんてどうでもいい。フォックスコンが作るならそれでいい。メイドインチャイナならそれででいい。製造業はそんな扱いになると思ってる。

もちろん例外はある。半導体や軍事など、自国に囲い込まなければいけない安全保障の問題がある製造業だ。しかし基本的には製造業はオワコンだろう。そもそも20年後にメイドインジャパンがあるとしたら、それは不本意なことかもしれない。考えの古い人は日本製最高~!とか言うかもしれないが世界はそのことを笑うだろうね。日本人の給料が安いから日本で作っているだけ(笑)と。今の中国製のような扱いになるだろう。

それくらいのゲームチェンジが起きてるというのに、いまだに日本製が消滅するとか嘆いてるミニトランプだらけなはてブのおじさん達には呆れる。

 

参考記事

 

(第37回)Made in Americaから20年の何たる変化! | 野口悠紀雄の「震災復興とグローバル経済」 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

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