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ウクライナ危機で言われる青い目問題は自動車にも言える


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面白く読ませてもらったけど、この記事が生まれる背景はぞっとする。ウクライナ危機でもさんざん言われている「青い目」問題だ。自動車業界でも、欧米中心の世界だけで物事を考えようとする問題が露呈している。

トヨタVWは良く比較されるが、両者の置かれている立場を考えずに「青い目」中心にEVストーリーを消費する連中が多すぎる。比較をするなら、まずはVWの市場が欧州と中国にしかないという背景を知る必要がある。

ikikuru.com


上の記事は2015年のものだけど、VWの売れてる地域は

 

EVを推してる欧州中国で75%

EV中立の日本アメリカで10%

そのほかで15%

 

と、欧州中国に偏っているという事がわかる。そして、その中国市場で地元EVメーカーが台頭してきており、VWはそれに対抗するためにEVに力を入れるしかない状況だということだ。

一方トヨタ

 

欧州中国で18%

日本アメリカ48%

そのほかで34%

 

と、世界でまんべんなく売っているので、30年にEVにするというプランはおかしい話だということが分かる。

欧米の市場しか見ていない欧米メディアが記事を書き、出羽守がそれに同調する。アジア、東欧、中南米、アフリカはそこにない。彼らは世界と言えば欧米のことで、他はせいぜい中国くらいだと思っている。ウクライナ危機のことは騒ぐがパレスチナミャンマーを無視する動きと似た問題が自動車業界でもある。

技術者(理系)の不幸話は、結局のところ文系差別の裏返し

togetter.com

「俺たち技術者(理系)は頑張っている。なのに会社、業界、日本がうまくいっていない。それは技術に無理解な文系のせいだ。」

こういう理系不幸話はネットでよく見る。どうしてだろうか。実際理系が文系から不当な扱いを受けているからなのか。わたしは違うと思う。むしろ逆で、理系の文系差別が裏にあるからだと思う。都合が悪いと他人のせいにする理系達が文系差別を利用して被害者のようにふるまい、文系に問題を擦り付けているからだ。

理系が評価されないというのなら、理系が起業して経営者になればいいのでは?と思うのが普通だ。そんなに無能な文系が牛耳ってるぬるい業界は、きっと素晴らしい技術で無双できるだろうし、君の下で働く理系は幸せになるだろう。

実際アメリカではそれができている。しかし現実の日本の技術者はいつまでたっても起業しないで、僕を拾い上げてくださいと待つだけ、愚痴を言うだけ。自慢することと言ったら転職でgoogleに行きましたとか、他人が作った器のなかに入りたがる具材としての人材アピールでしかない。器を作る側にならない。だからあんなに無能扱いしている文系にいつまでたっても勝てないのではと思う。いかにも日本の理系という感じだ。恋愛だって美少女が空から降ってこないか待ってるだけだもんな。

これがオタクのはなしになると、文系理系ではなく現場vsスーツの話になる。漫画業界でも漫画家という現場を評価するオタクが、ドラゴンボールの編集をしていた鳥嶋さんがたまにインタビューをうけると「裏方はでしゃばるな」とキレているのをよく見る。漫画家から手柄を横取りする奴らみたいな認識なのだろう。

日本人は編集者よりも漫画家を評価したがる傾向にある。だからオタクは編集者をしらないし知ろうともしない。ジャンプ初代編集長の長野規ですらかなりのコアなオタクじゃないと知らない。それは仕組みを作る人たちを全く評価しない証明になっている。

アニメ業界でも同じことが言える。岡田斗司夫のように話術に長けて企業から資金を引っ張ってきた敏腕Pは叩かれる対象だ。「ただ口がうまいだけのくせに偉そうにするな」と、オタクはプロデューサーを評価してきた。オタクイズデッドで岡田斗司夫は、昔と違って今はオタク=ただのコミュ障みたいになってしまったと語っている。

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だから現場vsスーツになるのだと私は思う。

そしてアニメ業界はみんなして現場に引きこもる陰キャ集団になってしまい、だれもアニメーターに金を引っ張ってこなり、金に困っているアニメーターをみて、オタクはテレビ局のせいだ電通のせいだと責任を外部化するわけだ。理系が文系のせいにするように。

とはいえ希望もあって、君の名はで中村元気が、鬼滅の刃で高橋祐馬が注目されるようになった。もっとも注目したのはビジネス系メディアで、アニメが世間一般に受けたのでそういったメディアがプロデューサーに焦点をあてて取り上げたからだ。コンテンツが一般受けすると、まともなメディアがまともな視点をオタク業界にそそいでくれるのだなと感動したのを覚えている。ちょっと前にオタク系メディアがけものフレンズ騒動での失敗をカドカワ側に責任を押し付けるようなゴシップ記事を書いていたが、見習ってもらいたいものだ。

これがITや工業の分野になると理系vs文系、技術者vs経営者になるわけだ。ビジネスモデル軽視、マーケティング軽視が、結果的に技術者に給料も払えない状態になってしまう事がわかってない。わかってしまうと自分達の理系>文系のヒエラルキーが崩れるからだろう。

難しいことしてるから給料は高いのだという技術中心主義な連中の思考は、選民的で排他的だ。技術マチズモみたいなものがある。技術マッチョによって、アニメオタク界隈でも写実的なキャラがよく動く攻殻機動隊のようなタイプを好むオタクが、動きのすくない日常萌えアニメを叩いているのをよく見た。

技術と金儲けの関係は有るといえば有るが、無いといえば無い。その程度のものでしかない。あればより効果的ではあるが、本質ではなく必ずしも必要なものではない。厄介なのは萌えアニメ好きの中にも技術マッチョはいて、実は萌えアニメもレベルが高いことやってるんですよなんて理屈で反論するから地獄だ。最初にリンクをはった「ソシャゲってじつは凄いんですよ」なロジックを展開している連中もそうだ。

たしかに萌えにも技術はあるだろうし、ソシャゲにも技術はある。京都アニメーションはよく動く萌えアニメを作って世間を魅了したし、サイゲの技術もすごいと思う。しかし、この手の技術マッチョが技術を軸にしている背景にあるのは、自分たちのヒエラルキーが脅かされてしまうことに対する恐怖だろう。

技術すごい論で言い返さなければ、現場が偉いという設定が崩れてしまう。理系>文系のヒエラルキーが崩れてしまう。だから楽に金稼いでるといわれるとカチンとくるのわけだ。

技術に頼らずスマートにお金を稼ぐ人たちという評価でよさそうなものだが、そうなると現場の手柄を横取りするスーツ野郎を利することになってしまう。いかにも苦労することが偉い日本人といった感じだ。結局のところ勤労でしかアイデンティティが保てないのだ。

技術至上主義は、アイディアとビジネスモデルの軽視になる。いつまでも技術至上主義だとブルースクリーンを頻発させたwindows95がなぜ売れたのかわからない。文章作成ではワードより一太郎の方が優れていたのに、みんなが使ってるからという理由でワードが売れた。ビジネスモデルの勝利だ(まぁあれはただの抱き合わせ販売だろという話ではあるけど)。

もちろん技術も大事なことで、今でこそMSは一流の技術者抱えており、ブルースクリーンも頻繁には起こらなくなった。それは資金があるからいい技術者を雇えるようになったという結果の話だ。技術が金を生むし、金が技術を生むことある。だからビジネスモデルを考える文系職を軽視した技術者の嘆きはかなり危険だ。

とくにITビジネスは1g軽くしましたとか、1mm薄くしましたとか、そういった理系的モノづくりスペックビジネスがあまり通用しない世界だ。スタートアップのときは毎秒数万のリクエストをさばく理系の競争よりも、アイディアやビジネスモデルのほうが重要だ。何が大事なのかを知ろうともせず文系職を馬鹿にしている日本の理系が、まわりまわって給料が低くなるのも当然の事だろう。

日本製の消滅を嘆くおじさんが多くて驚く

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前から日本の製造業の不振のニュースがブコメで盛り上がり決まって「日本の製造業はおわりだ。だから日本は終わりだ」と嘆く人が多い。私はそれを見るたびにどうしてはてブはIT系を仕事にしている人が多いのに製造業に未練があるんだろうと思っていた。

しかしここ数年のアメリカのトランプ大統領の言動をみていて、ここにヒントがあると気づいた。説明するまでもないがトランプ大統領はホテル経営者だ。にもかかわらず製造業をアメリカの復活と結びつけて政治を動かしていた。なぜトランプは製造業にこだわったのか。製造業は立派な工場が立ち並び、そこでは男達が大量に労働力として参加するイメージだ。それが非常にマッチョな思想の人に映える国家像に映ったのではないか。これらにマチズモ的要素を重ね、国の発展を可視化させたかったのではないかということだ。

それにくらべてITは椅子に座ってキーボードをカチャカチャする作業風景だ。マッチョな活力は感じられない。そもそものIT産業自体が年配からは虚業といわれ理解されなかったことからもわかるように、はたから見ると仕事の内容が非常にわかりづらくなめられることが多い。「ごめん、ちょろっと修正してよ」なんて気安く修正を依頼されたりもする。電子空間の出来事よりも、肉眼で物体が確認でき、手で触れられる製造業のほうが、感情を動かす映える産業なのだろう。

そういった背景があり、はてブのおじさん達も仕事ではIT系などの仕事をしているが実は精神的にはモノづくりにあこがれる精神モノづくりおじさんが多いのではと思う。本当はものづくりをしたかったとか、不本意ながらIT行くしかなかったとか、そういった不本意ITおじさんの巣窟なのかもしれない。

私は製造業そのものがオワコンだと思っている。一言でオワコンというのもどうかと思うが、多少の例外はあれど終わっている。だから本当の日本の問題は製造業の消滅ではなくて、それに代わるべきだったIT産業を育てようとしなかった事にあると思っている。そっちのほうがよっぽど問題だし嘆くべきだ。日本にMSやgoogleamazonが生まれなかったこと、そしていまだに日本からそれらを生み出そうとする気概がない事を嘆くべきだろう。しかし政治家などが嘆くのはなぜかテレビ製造やスマホで中国や韓国の企業に負けたとか、いわゆるモノづくりでの事ばかりだ。あったものが失われるというのも響くのかもしれない。失われることは馬鹿でもわかるが、最初からなかったものは嘆きようがない。だから考えようともしない。

製造業はオワコンだというと「テスラがすごい盛り上がってるじゃないか!」と言う人がでてくるが、私はテスラの勢いは長く続くとは思わない。今はほかのメーカーがEVに力を入れてなかった隙間を突いたブルーオーシャン期だ。これからEV業界が成熟したらどうしても価格勝負になりコモディティー化する。スマホでいうとHTCみたいなものだ。スマホ初期はまともなアンドロイドスマホがHTCだけだったので勢いがあったが、ほかのメーカーが真剣にスマホ作り始めたら競争力を失った。アップルのようにOSやアプリプラットフォームで囲い込むこともできないので結局中国メーカーに価格競争を仕掛けられ終わると思っている。

だから、これからはやはり情報産業が重要だ。車では自動運転勝負になると思っている。ここで重要なことは所有ではなく利用での自動運転だ。ホンダがレベル3を自慢しているが自動車メーカー主体の自動運転はどうでもいい。なぜなら自動車メーカーの自動運転は車の所有、つまり車を販売する前提だからだ。利用が前提の社会ではやはりgoogleが支配するだろう。アプリで配車サービスを呼び出したら無人カーが来てそれに乗る。そういった情報産業ファースト、サービスファーストな自動運転が今後支配するだろう。車を売るための自動運転ではなく、自動運転サービスを提供するための自動車産業になる。そういうのはサービスファーストな企業でなければ厳しい。本当の日本の問題は、それを提供できる企業がないことだ、情報ファースト企業に切り替えられずに、製造業を捨てなかったことが問題だ。

ちなみにもし日本企業でgoogleに対抗できるならどこだろうと考えると、しいていうならソニーだろう。製造業主体から情報ファースト、サービスファーストになりつつある。まだ見ぬベンチャー企業を別とするならトヨタやホンダではなくソニーが一番近い存在だと思う。ソニーは日本企業には珍しくサービスへの転換に成功した。もちろんハードウェアも作ってるが、おそらくこれからどんどん減らしていくと思うし、デザインやソフトウェアやサービスの提供はソニーが担当するがハードウェアは部品会社に委託するアップルがやってるような業態になるだろう。そのとき、ソニーの車がどこで作られてるかなんてどうでもいい。フォックスコンが作るならそれでいい。メイドインチャイナならそれででいい。製造業はそんな扱いになると思ってる。

もちろん例外はある。半導体や軍事など、自国に囲い込まなければいけない安全保障の問題がある製造業だ。しかし基本的には製造業はオワコンだろう。そもそも20年後にメイドインジャパンがあるとしたら、それは不本意なことかもしれない。考えの古い人は日本製最高~!とか言うかもしれないが世界はそのことを笑うだろうね。日本人の給料が安いから日本で作っているだけ(笑)と。今の中国製のような扱いになるだろう。

それくらいのゲームチェンジが起きてるというのに、いまだに日本製が消滅するとか嘆いてるミニトランプだらけなはてブのおじさん達には呆れる。

 

参考記事

 

(第37回)Made in Americaから20年の何たる変化! | 野口悠紀雄の「震災復興とグローバル経済」 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

世界を変えた「アメリカ製造業」たちの現在地 | 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

電気自動車か燃料電池車かトヨタかテスラかなんて議論は、BDかHDDVDかみたいな話だ

世間じゃEVかFCVかトヨタかテスラかなんて議論に必死な人がいるけど、僕はそんなことより自動運転のほうが重要だと思う。燃料をどうするかの議論は、HDDVDかBDかみたいな争いで、答えはどちらでもなくサブスク動画サイトでしたみたいなオチになる。

つまり、モノからコトへ。

物を所有している今は、それがステータスになるので製造メーカーを気にする。だからベンツだポルシェだといったブランドにこだわる人が出てくるけれど、利用の時代には製造メーカーよりもそれをサービスとして提供している企業のほうが重要になる。

実際タクシーやバスや電車といったサービス業界では、日本交通、西武バス、JR、東京メトロ阪神や阪急といった提供企業のほうが客にとって認知されている。それらに車両を提供しているUDトラックス総合車両製作所といったメーカーを知ってる人はマニアだ。同じくタクシーがガソリンではなくLPG(液化石油ガス)で走っていることを知っている人も少ない。

モノからコトに変わるということは、客がモノに対して興味を持たなくなり、メーカーも動力も燃料も客にとって重要な要素ではなくなるということ。EVかFCVかテスラかトヨタか、全個体電池はどうなる?なんていう話は重要ではなく、客のスマホにどうやって配車アプリをインストールさせるかのほうが1億倍重要な時代になる。

アニメーターが食えないのは売上をみれば当然の話

 

つまり、アニメーターのせい

 

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「日本のアニメがヒットしてもクリエイターにお金が届かないのはなぜか」

という記事に対する私の答えは「寝言をいうな、アニメは人気がないんだよ」になる。

 
それは2016年のアニメDVD・BDの年間の売上を見ればわかる
2016年TVアニメ 上位作品ランキング
(秋) 67,740 ユーリ!!! on ICE
(秋) 17,317 刀剣乱舞-花丸- (5巻/6巻)
(秋) 11,067 DRIFTERS
(夏) *9,436 B-PROJECT~鼓動*アンビシャス~
(春) *9,227 マクロスΔ
 
2019年はサブスク時代に移ってDVDランキングでは意味がないので、まだ円盤が売れてた2016年のデータで話そうと思う。もう一度言うがこれは「年間」売上で「週間」ではない。これは一巻の数字で、1位のユーリは6巻でているので総売り上げは6倍で40万枚くらいだろう。アニメのことを知らない他業界のオタクはアニメ市場の小ささに驚くだろう。「週間の売り上げじゃないの?」と。
漫画ではワンピースが1巻平均で300万部以上、鬼滅の刃が500万部以上、ゲームではモンハンやスプラトゥーンが300万本、どうぶつの森が600万本を売り上げる。国内だけでだ。なのにアニメは7万弱しか売れていない。ユーリが特別に売上が小さかったわけではなく、もっと少ない覇権アニメもある(ネットではその年に話題をさらったアニメを覇権と呼ぶ)。これはまだTOP10だからマシなほうで、今や年間で200本を超えているアニメの本数を考えると、下位作品の売上は数百枚レベルがゴロゴロしているだろう。こんなのでやっていけるわけがない。アニメが人気?どこの話ですか?
アニメはテレビやネットで無料で流すので、お金のない中高生にもリーチしSNS上で話題になりやすい媒体だ。その反応の規模だけを見て、アニメは人気があると錯覚する人がいるわけだが、しかし話題がお金を生み出すわけではない。他業界オタクならこんな売り上げでやっていけないと直感で分かる。アニメは数人で作ってヒットを生み出すインディー分野があるゲームと違って、低予算の深夜アニメにも100人規模の人手がいる労働集約型の産業だ。そしてそれが売上が数千枚レベルとなると、コストを回収できるわけがないというのは直感で分かる。
アニメ業界の問題がこじれるのは、アニメーター至上主義ともいえるオタクの責任が大きい。普通に考えればアニメーターが食えないのは「人気のないアニメを作ってるアニメーターが悪い」で終わる話なのだが、アニメの多くはテレビ放送によるビジネスモデルが基本なので、アニメオタクはこの構造をスケープゴートにして、責任を外部化するわけだ。いわゆる中抜きという陰謀論だ。
テレビで放送されているアニメの大多数はジャパネットたかたのようにテレビ局の枠を買い取って番組を流して商品購入を促すビジネスモデルだが、どういうわけだかアニメオタクはこの仕組みを中抜きという言葉を使ってテレビ局に批判を向ける。ジャパネットたかたが番組で紹介した商品の売り上げが悪くて赤字になったとテレビ局に文句を言うような話を真面目にしている。アイドル事務所も番組の枠買い取ってアイドル番組を放送しているが、それを中抜きとは言わないだろう。せっせと握手CDを買ってもらえるように頑張っている。
プラットフォーム企業が手数料をもらうのは当然の話だ。任天堂ソニーやSteamといったゲーム業界がそうだし、AppleGoogleといったスマホアプリもそうだし、映画における映画館もそうだ。しかしなぜかテレビアニメになると、オタクはテレビ局が中抜きをしているせいでアニメーターが貧乏なんだと憤る。けものフレンズ騒動でやたらと陰謀論でひっかきまわしたアニメオタクの厄介さは記憶に新しいが、世間知らずのアニメオタクはテレビ局や代理店、製作委員会を批判をする。
別の問題として多くが原作ものだということも原因だろう。マンガやラノベに頼ると、当然原作者や出版社が権利者になる。ただでさえ少ないアニメ会社の取り分がますます減ってしまう。多くのアニメ会社自前の資金でアニメを作らず、自前のIPでアニメを作らず、自分たちでプラットフォームを作らないでマージンを取られ、そしてろくに売り上げがないとなったら、アニメーターが食べていけないのは当然の話だ。
それにしても最近のネット企業への謎の期待は意味が分からない。テレビ会社への手数料を中抜きと呼ぶのに、なぜかNetflixは褒めたたえる。もちろんNetflixで配信するアニメが評判になれば収益が増えるだろうが、そんなのはテレビアニメにしても同じことだ。Netflixが変えるというより人気が出たら収入が増えるという当たり前の話だ。
現に新海誠がそうなっている。あえて中抜きという言葉を使うが、映画館という中抜きがあろうが、東宝という配給会社の中抜きがあろうが収入は増える。現状のシステムでもきちんと人気が出ればお金を払ってもらえるわけだ。DVDの売り上げランキングでもわかるように、アニメオタクはアニメ自体にはお金を払わず、無料アニメを見て、ネットで萌え萌えと騒ぎ、無料ゆえの拡散力をアニメの実力だと勘違いし、どこからともなくお金がアニメーターに落ちると思っているわけだ。そしてそれが違うとわかると、テレビ局や委員会に怒るわけだ。
ちなみに、ドラゴンボールのように、アニメ会社のオリジナルIPではなくとも世界で人気のアニメの場合どのくらいの給料をもらえるのだろうと調べてみた。
有価証券報告書調べで715万円となっている。まぁまぁの金額だ。少なくとも生活が苦しいレベルではないだろう。人気が出ればそれなりの生活ができるようである。他人のIPだろうが円盤に頼らなくても、世界的に人気がでれば食べていけそうだ。東映プリキュアも人気があり、こういうビジネスモデルは強い。やはりアニメーターを救うのはNetflixではなく人気であると言っていいだろう。それでいうと、鬼滅の刃は映画もヒットしたし、おそらくufoにはそれなりのお金が入ってくるだろう。ヒットしたこともそうだけど、なにより制作委員会方式でないのも大きい。分け前が細分化せずに、それなりの割合をもらえているはずだ。その点でアニプレックス高橋祐馬の功績は大きいだろう。
行政の問題ではなく、中抜きの問題ではなく、問題に対して行動しなかったアニメ業界に問題があると認識を改めるべきだろう。任天堂をはじめゲーム業界はクールジャパンと言われるはるか昔に、自力でゲーム機販売からやっている。ゲーム業界がアニメ業界に比べて金まわりがいいのは自分で行動するという意識が違うのではないだろうか。任天堂はハワードリンカーン氏に依頼して違法ソフトを撲滅するために行動した話は有名だ。ゲーム業界は行動する。業界が動くから消費者の意識も変わる。アニメ業界が行動しないので特に外国人は違法動画の視聴を開き直る連中を生み出している。
結局日本の労働問題にもつながる話だが、自分で動かず誰かが何とかしてくれると待ってるだけのアニメ業界の問題であり、ひろくいえば日本の労働問題に共通するものだ。だから「時代はnetflixだ!テレビ局ざまぁw」みたいな話をしたがるオタクをみていると呆れてしまう。中抜きも、他社頼みのIPも、そしてテレビ局を悪者にしてnetflixに期待するのも、アニメ業界の情けない姿でしかない。誰かが何とかしてくれないだろうかという他力本願こそが問題の本質なのではと思う。

ネット接続をしようとした時に「同じデバイスまたはポートを使って既にブロードバンド接続を確立しているにもかかわらず、2番目のブロードバンド接続を確立しようとしました。」と言われた時の対処法

今日、PCを立ち上げてネット接続を試みたら

同じデバイスまたはポートを使って既にブロードバンド接続を確立しているにもかかわらず、2番目のブロードバンド接続を確立しようとしました。

といわれ、昨日まで出来ていたインターネットができなくなっていた。

別のPCで解決方法を調べると、もうすでにネットに接続してるから切断してから接続しろみたいな解説がされていることが多い。しかし私の場合は接続していない状態にもかかわらずこのエラーメッセージが表示されてしまうので困った。

調べた結果、どうやらWindowsの機能である高速スタートアップが悪さをしているようだ。高速スタートアップとはWindows8から導入された機能で、次に起動するときのために操作情報を記憶しシャットダウンすることでPCの起動を高速化するものだ。これによってWindows7よりも高速な起動が可能になったのだが、場合によっては余計なものを記憶したままシャットダウンしてしまうようだ。今回の私のようにネット接続を記憶したままシャットダウンしてしまうと、既に接続しているのにまた同じ接続先に接続しようとしていると思われているわけだ。

さて、解決方法だがそれは簡単。Shiftを押しながらシャットダウン。これだけ。これは完全シャットダウンという方法で高速スタートアップをするための機能を使わず前回の操作情報を記憶せずにシャットダウンする方法だ。デメリットは起動が若干遅いということだが、不具合が起きた時に一度だけすればいいので問題ない。これによって私の場合はインターネット接続が可能になった。

同じような症状で困っている人がいるかもしれないので備忘録として残しておく。参考になれば幸い。

 

自前主義が正しい時代は終わった

honda.hatenadiary.jp

上記ブログがネットを騒がしている。
要約すると、車を作りたくてホンダに入社したが技術開発はサプライヤー任せで、自分たちは買うだけだという嘆きだ。私の感想としては、この人はホンダの方針と合わなかったんだなで終わる話なのだが、気になるのはブログ記事への反応だ。はてなブックマークは比較的冷静なのだがツイッターはなかなか過激で、ホンダの方針が間違ってるかのようなコメントが多い。加えて日本凋落の原因はこれだ!みたいなものもある。
 
しかし、私がこの30年さんざん聞かされた日本凋落の原因は自前主義にあるというものだった。なんでも自分たちでやって垂直統合で動いていたため、時代の変化に対応ができなくなってしまうというあれだ。アメリカは80年代に日本企業にモノづくりで劣勢だった反省からモノづくりは中国などに任せて、アメリカは規格やプラットフォームで稼ぐ仕組みになった。90年代後半のwindowsが世界を席巻するときにはそういった分析はあらかた終わって常識になったと思う。だから2018年にもなってこんな自前主義を守れ!みたいな反応を見るとは思わなかった。
そもそもホンダが赤字なら凋落といえるのだが、黒字でホワイト企業(上記ブログ主も労働環境には満足していたようだ)なら問題ないだろう。つまり、適切な分野を見極めて、外部の企業に頼るのは間違ったことではない。自動車はこれからEVが普及してコモディティ化する流れが今以上に加速するとさんざん言われてきた。PCや家電で起こったことが自動車でも起こるわけだ。その傾向は株価にも出ていて、日経によると完成車メーカーよりサプライヤーのほうが調子がいいようだ。PC業界をみれば当然の話だ。DELLやHPよりもインテルNVIDIAのほうが重要なのだ。
これは日産の話だが、電池メーカーを中国ファンドに売却するなどホンダ以外の企業も自前脱却を進めている。
ホンダも、そういったメガサプライヤー時代に合わせた動きをした結果なのだろう。
 
もちろんそんなメガサプライヤーの時代に完成車メーカーに入社した社員がそのことを納得しているのかという話は別にあるし、退社する社員が出てくるのは仕方がないとは思うが、それは時代と個人の折り合いの問題であって、ホンダの問題ではないと思う。